看板で売上20%アップ! 店頭に看板娘より手描き看板。

「3万円までしか出せないなぁ」

ランチの価格は1,000円~1,200円。店主の言葉はごもっともだった。

 

私は手描きの看板を生業にしているチョークアーティスト。

ある日、近所のお蕎麦屋さんから看板依頼の問い合わせが入った。アトリエから1~2分程の場所にあるお蕎麦屋さん。

普段、昼食はアトリエで簡単に済ませるのだが「ちょっと気分転換においしいものを」

そう思った時に伺うお気に入りのお店だった。

 

ランチはサラダからわらび餅のデザートまでついて天ぷら蕎麦のセットが1,200円で食べられる。私のお気に入りは、親子丼セット税込1,200円。

 

安くて助かるのはもちろんなのだが、お気に入りの理由は他ではなかなか食べられない

おいしさだった。

季節によって産地を変えるこだわりのお蕎麦。蕎麦屋のおいしい出汁で作る親子丼。どぅるんと口に入れた時の卵の火入れが絶妙で、鶏肉もほどけるような柔らかさ。出汁の染みたご飯のほろほろ感。これがもぅ夢中で食べてしまうおいしさなのだ。

 

そんなお気に入りのお蕎麦屋さんからの問い合わせ。以前から、このお店にチョークアートの看板があったらもっともっとお店の魅力が伝わるはず! と思っていた。

 

そんな店主がアトリエに訪れた日には、夢かと思った。

だが、

「本体の看板代を含めて、A看板両面で3万円の予算までと考えていて」

とのこと。

 

頭の中で電卓が弾かれ一瞬にして、片面すらも難しい予算であることがわかった。

数千円の値引きなら対応しようと思ったがさすがに難しい予算感だった。

 

「以前から、大ファンのお店なのでぜひお力になりたいのですがちょっと難しいですね」

お店側の考えも理解できる。あんなにおいしい手間暇かかったお蕎麦をサラダ・デザート付き(わらび餅も手作り)でランチが1,000円~食べられる。原材料にもこだわっていて親子丼セット1つ取っても上がりが少ないのがわかる。看板の元を取るには一体何食のランチを売れば……と素人がちょっと考えても店主の予算感はごもっともだ。

 

3万円も看板に予算を投じようと検討してくれたことが嬉しかった。……が、そんなこんなで今回は見送りとなった。

私は以前から飲食店さんのチョークアート看板に力を入れていた。シズル感たっぷりに描く作風からテレビチャンピオンのチョーク看板選手権に出場した時には「デリシャス金城」のキャッチコピーがついた。

 

しかし、今回私が1番看板を届けたい人に看板を届けることができなかった。

どうにか何かいい方法はないか、蕎麦屋さんの看板は一旦見送りになったもののそこから頭の片隅にずっとこのことがあった。

 

また別の時、近所に割烹料理店がオープンするとのことで店内外に10点以上のチョークアートのオーダーをいただいた。制作には時間がかかるため1ヶ月半ほど制作時間をもらうことになった。

 

しかし、オープン直後、「できれば一日も早く看板が欲しいはず」そう思って、従来のチョークアート看板から画材をすべて変え、早く簡易的に描いたものを持っていった。

「チョークアートの看板が出来るまでの間、この看板よかったら使ってください」と、即席看板を渡した。

 

クオリティよりも早さを重視した看板。画材を変えることにより、従来のチョークアートの3分の1の時間で制作できた。

 

更に、得意としている食べ物のシズル感を強調し、実売に繋がるような文字のサイズや配置に注力した。デザイン性よりも伝えることに重きをおく。

 

そうすると面白いことが起きた。

 

チョークアートの看板の完納のタイミングで即席看板を引き上げようとしたところ

 

「この看板も買い取り出来るかしら? この一ヶ月半で、この看板見て入って来てくれたお客さんがたくさん居てね、板さんもこの看板があるとすごく気分がいい♪ ってすごく気にいっているの」

とのこと。

とりあえずこれ使ってくださいと渡した看板が「入客」と「板さんのモチベーションアップ」に貢献したと聞いて、とても嬉しくなった。

 

そこから、「シズル感溢れる販促手描き看板」 を更に研究していった。

名前は「シズルボード」と命名した。いくつか看板をテスト運用し、反応のよかった看板に共通性を見出し、法則・黄金比を構築した。それは決して難しいことではなく、極めてシンプルなものだ。やってみると意外に出来てしまう。だが、解説なくして理解するには難しい。

 

看板の定義が定まったところで、やりたいことがあった。

話は始まりのお蕎麦屋さんの看板に戻る。

 

そう、これならあのお蕎麦屋さんの予算もクリア出来る。

……とは言っても、1年ほど時間が経っていたのと、コロナのタイミングが重なってしまっていて「看板買いませんか?」と話をしに行くには、ちょっと気が引けた。

そこで、「看板を置いてみませんか?」と提案にしてみることにした。

 

従来のチョークアート(※オーストラリア発祥で、主にオイルパステルで描く。学校のチョークとはまた別ジャンルのもの)であれば丸2日かかるサイズ感、シズルボードになれば5時間ほどで制作ができる。

「看板置いてみませんか? (期間限定、モデリング設置)」に対して店主の反応は

「特にデメリットはないからそうしてみよう」と、乗り気でもないし後ろ向きでもない、そんな印象だった。

後日、出来上がった看板を持って店を訪れた。

看板が一目、目に入った瞬間に店主の目が輝いた。そしてとても嬉しそうに

「これはお客さんいっぱい来ちゃうね~」

と言い、すぐに店先に看板を設置してくれた。

 

それから3週間、店先にシズルボードを設置して反応を見てもらった。更に、設置前と設置後の入客、オーダー数、売上のエビデンスを出してもらう約束をしていた。

 

3週間が経ち、ランチ後のお蕎麦屋さんを訪れた。店主は、売上までことこまかに報告してくれた。

売上20%アップ。

メインに描いた天丼セットのオーダー数32%アップ。

入客数114%アップ。

 

「女性客が増えた」

「看板を見て店先で足を止める方が増えた」

「入店を迷っている方の来店への一押しになった」

 

 

「いや~看板すごいね! ところでこの看板買取り出来る?」

とのことで、モデリングしていたシズルボードは蕎麦屋さんに買取ってもらい、引き続き店先で活躍することとなった。

シズルボード誕生のきっかけは、大好きなお蕎麦屋さんの看板を予算内で制作することが出来なかったあの時の悔しさ。

 

2021年には、この看板(シズルボード)が4度もテレビに取り上げられた。2025年現在も、シズルボードの描き方を伝授する講座には全国各地から受講生が集まっている。

 

シズル感溢れるおいしそうな食べ物の表現をキーに売上・魅力・鮮度アップ。

 

デジタルが主流の時代に逆行するかのような手描き看板。見た人の心を一目で掴む高揚感、五感にダイレクトに届くシズル感、手描きならではの親近感で道行く人の足を止める。                             《終わり》

 

シズルボードHP🔻

 https://shizuruboard.com/

#シズルボード

#シズル看板

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